眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

X‐ファイル シーズン1 第8話「氷」

アラスカの研究所。いきなり上半身裸の男。しかも血濡れの状態。ビデオのスイッチを入れ、もうだめだ、もう自分ではなくなってしまった…といったメッセージを残し、その直後に襲いかかって来た同僚と乱闘。結局お互いに向けた銃を、それぞれ自らの頭に向けて発砲、自殺する。この異常事態の調査のために、モルダーとスカリー、他4名が研究所を訪れるが…。

地下深くから掘り出された、古い時代の氷の中で眠っていた寄生虫が、人の体内に侵入、視床下部を冒し、凶暴化させる。内容的には、ほぼ「遊星からの物体X」。仲間が死に、感染者が誰かで疑心暗鬼になっていく様子もそのまま。派手な人体変形描写はないけれど、虫はうねうねと蠢く、いかにもな芋虫さん…というか、大きめのウジ虫さんのようなスタイルで、大変気持ちが悪い。これが皮膚の下を動く場面も生理的嫌悪をかきたてる。「スクワーム」とかと似ています。ひとつの個体内に、二匹いると殺し合うという特性が判明するが、つまりそれは、体内にもう一匹虫を入れると殺し合って自滅する、ということ。生き延びるためには、虫を耳から体に入れるという、絶望的なまでに嫌な選択しかない。人にそれをやる直接的な描写はさすがにないが、犬の耳にいれるところはみせてくれて、これがまた、気持ち悪くていいですね。しかし耳ならまだましか。鼻からだったらどうしたらいいか…。それにあんなに大きな虫、視床下部に辿り着くまでに、頭の中の器官、傷つけないかな。
後半、追い詰められていくと、残っている人間が皆冷静さを欠いて興奮状態になり、誰が感染者であってもおかしくないように見えてくるのが、サスペンスを呼ぶ。土壇場のところで、誰が感染者かわかるところもスリリング。余計な寄り道のない、シンプルで単純な構成。1時間1話完結スタイルを面白くみせるのは、やはりそこが肝ということなのだろう。これは「スクイーズ」と並んで、シーズンベストの一本に選びたいエピソード。