眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

モンスター(1979)

またしても過去の日記を漁ってみた。これは怪獣の造型があんまりだったので記憶に残っているんですよ、そこだけが。

監督はケネス・ハートフォード。聞いたことありますか?他には「ナチス・クローン」とか 「コマンド・ガールズ」とか…それらも知らんなあ。以下、86年10月の日記より。

『湖に怪物が出現するというおなじみのパターンの映画。同系列の未公開作に「謎の火山湖」という怪物ものがあった。これは物語は平板でも、非常に不気味に進展し、ラストではモデルアニメーションによる恐竜がでてきたので大喜び、その夢をもう一度、という感じでみたのだがそれには及ばなかった。
3年前、コロンビアの小さな町で男が何者かに殺された。一緒にいた女は気が変になりモンスターが出た、と言うのである。そしていまやセメント工場が町に出来ている。しかし経営はいまひとつ不振で、その理由のひとつは、あのモンスター騒ぎ、そしてサンチェスという男が湖の汚染をふせぐため、工場側に反発していたためである。またテレビレポーターのパティも邪魔であった。そこで社長はビルをコロンビアに行かせ、全ての件を解決するようにたのんだ。と、事件がおこり、女性が何者かに惨殺されたりしだす。工場長の娘アンドレアとそのボーイフレンドのグレンは湖にはりこみ、モンスターが実在することを確認し、写真におさめる。怪物がいるということが判明した今、やつを退治せねばなるまい。湖上空から羊の肉をたらし、モンスターがそれに食いついたらリモコン操作で爆破させる作戦がたてられ、うまくいきそうにみえるが、リモコンを湖に落としてしまい、ビルが湖へとびこみ見事スイッチをいれ爆破する。
なんといっても笑ってしまうのはモンスターのうそっぽさである。特撮とよべるかどうか。巨大なハリボテで、デザインはまあよしとしてもいまひとつだ。全体的にもう使い古されたパターンで新味なんてものはない。ただ、ジョン・キャラダインの神父が、悪魔の存在をみとめており、町の人間が、3年前の事件の生き残りの女が、モンスターを呼び寄せた魔女だ!といって火あぶりにしようとするのを、じっとみつめているというのがなかなかの狂気。この辺りはよしとしよう。しかしながら、ジム・ミッチャムのどこがヒーローかわからないヒーローぶりもふくめて水準以下の作品である。そして特筆ものはラスト。すべてが解決しグレンとアンドレアが湖の岸辺で遊んでいる。シェパードが湖と逆の山の方へかけのぼっていくと、そこには巨大なタマゴが!そしてそれは今まさに割れ、あのモンスターの赤子がうまれようとしている!そこでカメラが右へパンすると、あっ!!巣にもられた山ほどの、タマゴのヤマモリッ!!このラストはいいね。笑っちゃったぜ。それにしても「ブルーサンダー」や「ハウリング」からの選曲が目立ったなあ。』
原文のままなので、よく意味がわからないところが随所にあるが、愚かなりし若き日(といっても19歳なのだが…)のことと思って、笑って許してやってほしい…。ビルというのがジム・ミッチャムのようだ。他の出演者名には、グレン・ハートフォードアンドレア・ハートフォードという名前があるが、おそらく監督(兼製作・原案・脚本)の子供か、でなければ、まあ親戚筋の人じゃないのかな。ジョン・キャラダインの狂気について書いているが、じっとみつめている…というのは芝居ではなくて、何もしていなかったのではないか?とも想像される。製作国はアメリカとイタリアになっているが、舞台がおそらくコロンビアらしい、というのもなんだか複雑ですね。

今の映画環境に身を置いていると、酷い映画だ!と、怒ってもしょうがない。が、この当時はこんな残念な映画でも、怪獣が出てくればうれしかったものである。あと「謎の火山湖」となっている映画は、本当は「魔の火山湖」であった。恐竜のモデルアニメは、実はデイヴィッド・アレンの手になるもの。

特撮の差は歴然としておりますなあ。