眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

三波春夫の「俵星玄蕃」

12月14日といえば、やはり忠臣蔵の討ち入りの日。ひと頃は、やたらと年末にはドラマが放送されていたのに、最近はめっきりやらなくなりましたな。1年の締めくくりに、こたつで、みかんなど食べつつ「忠臣蔵」をみる、というのもいいと思うんですがね。思想的なものは二の次で。ええ。
あまり意識はしてなかったけれど、いつの間にか旧い日本人になってしまった世代としては、この時期、「俵星玄蕃」が聴きたくなるものじゃないですか?そんなことはない?10年ほど前でしょうかね、これを聴いて、心底たまげるような衝撃を受けたのは。な、なんというかっこ良さか!と。そしてこのとき、三波春夫という歌手の凄さを認識したと。それまでは、ただの演歌歌手でしかなかった(その認識も間違っているし)のが、まさしく畏れ多く、思わずひれ伏してしまうほどの存在になってしまいました。で、ラジオとかYoutubeとかでなく、きれいな音で聴いてみたいなあと思い、図書館のCDコーナーを物色してみると、ベスト盤が見つかりまして。早速借りて来て聴きましたが、やっぱり、よろしいなあ。歌謡浪曲ってのは、後を継ぐ人はいないの?島津亜矢がやってるくらい?もっとやる人がいればいいのにね。難しいだろうけど。

いやもう、お見事というしかなく。この頭の口上(というか?)は、聞いたことがないんだけれど、ライブではやっておられたのか?作詞はご本人なので、「おふくろさん」のときの、川内康範先生のようなことはないのだろうけれど。でも、忠臣蔵が遠くなった今となっては、これがある方が判り易くていいですな。
で、CDを聴いてて驚いたのは「チャンチキおけさ」ですよ。旧い世代に属するようになってきたのに、遅れて来た世代でもあるので、歌詞をちゃんと知らなかったんですよ。ご陽気な歌だと思ってたら、なんとも悲しい…。にぎやかな歌だと思っていたけれど、にぎやかさは、寂しさの裏返しだったんですね。切ないな…。好きな歌になりました。昔の歌謡曲は、「チャンチキおけさ」もそうですが、「我が良き友よ」とか「港のヨーコヨコマハヨコスカ」とか、最後まで聴いて意味が判る、ぐっとくる、という物語仕立てなものがありましたな。さだまさしの「雨やどり」とか好きだったなー。