眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

007 ドクター・ノオ

Dr.No/1962/イギリス

監督はテレンス・ヤング

BSジャパンで007シリーズの放送開始。まずは第1作の『ドクター・ノオ』。何年ぶりにみるだろうか、というくらいに久しぶり。下手すると20年ぶりくらいじゃないかな。中身も全然覚えていなかった。しかも途中、寝てしまったので、軽くメモ程度に書き残しておこうと。

銃口から覗くタイトル部分、音楽が出るタイミングが違うので、ちょっと前につんのめりそうになる。タイトルデザインは最初からモーリス・ビンダーだけど、お馴染みとなる人の姿を影でみせるのは最後の方だけで、しかもそれが男で、そのまま本編に繋がっている、という見せ方。映画の出だしは、定時連絡に出た諜報部員がいきなり射殺され、直後に今度はその秘書も殺されてしまう、という、なかなかにハードな幕開け。正調スパイサスペンス、という感じ。前半は、段取りをひとつひとつ踏む、大変丁寧な見せ方がされていて、少々地味目な印象になるのだが、これも英国製サスペンス映画の実直さのようでもある。島に渡って、ハニー・ライダー(ウルスラ・アンドレス)が出てくるのが、始まって1時間も経ってから、というのも意外だった。ボンドガールという存在に、それほど注意は払われていなかったということだろうか。貝を拾って生計を立てている、単なる一般人。たまたま島に来て、話しに巻き込まれるというのも、後々のシリーズとは全く違った設定。しかも白い水着姿がいやらしく、扇情的な割には、心は純情派。見かけとのギャップは大きく、男の得手勝手かつ夢丸出し。見かけは色っぽく、中身は純情、最初はちょっと冷たいが、心を許すとくっついてくる。今の若い人でも、こういう女性を夢見るのか?007は男性優位主義な男の夢の映画ではあろうが、今となっては、夢が過ぎないか?と思うのだが…。

ドクター・ノオ(ジョゼフ・ワイズマン)が姿をみせるのもかなり後半に入ってから。で、『燃えよドラゴン』が、007のようなストーリーとよく言われることの意味が判った。ドクター・ノオは、まんま、ハン(シー・キエン)にコピーされているんだ。ああ、島に乗り込むというのもそういうことか。なんとも恥ずかしいことだが、しょうがない。

終盤の島の施設内のセットは、ケン・アダムによるものだが、このスケール感と、SF的な意匠が007シリーズらしい味わいだなあ、としみじみ感じる。007は『私が愛したスパイ』から入った世代なので、SFっぽさがないと物足りない。1作目は比較的低予算だったらしいけれど、前半で節約して後半に気合入れた、みたいな感じだろうか。

クライマックスは、これも記憶していたよりも淡白。特にドクター・ノオの最後があんなにあっさりしたものだったとは…。当時はこれくらいで普通だったのか…とも思うがどうなのだろう。

吹替は、ショーン・コネリー若山弦蔵ウルスラ・アンドレス武藤礼子。弦蔵さんのコネリーは、余裕がありすぎる感じで、色気もたっぷり。武藤さんは、娘っ子な感じを出して演じているので、おそらくオリジナル版よりもハニー・ライダーは可愛らしくなっているのではないかと想像。フェリックス・ライター(ジャック・ロード)が中田浩二さんというのもかっこよかった。これもまた、オリジナルよりもライターの信頼度が数段アップしていそうだ。

てな感じで、ほとんど007素人。だからこそ愉しんでみることが出来た、とも言える。まあ誰に気兼ねするわけでもないからして。再放送も希望。今度は寝ないようにするから、お願いします。素直に来週が愉しみだ。