眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

ウルトラマン 第4話「大爆発五秒前」

脚本・南川竜、監督・野長瀬三摩地特技監督は高野宏一。

原爆を搭載したロケットが墜落。原爆の影響で巨大化、性格も変わってしまった海底原人ラゴンが、葉山マリーナで大暴れ。行方不明になった原爆の1個は、ラゴンの肩にくっついている。スイッチが入ると20秒で爆発してしまう。果たして無事に回収出来るのか!

冒頭に登場する原爆を輸送するロケットは、マーカライトジャイロだったので、ちょっと嬉しい。「地球防衛軍」のフィルムの流用か、プロップを借りてきて撮ったのかどっちなのだろう。それにしてもこの時期、原爆が落下してどうのこうの、というのは「魚が出て来た日」や「昆虫大戦争」などでも描かれているけれど、スペインで起きた水爆落下事件というのが如何に衝撃だったか、というのが判ろうというもの。当時の社会背景が、今振り返ると面白い。

今回も特撮には色々と目を瞠らされる。葉山マリーナで、フジ隊員とホシノくん、それにミチコちゃんの3人が食事していると、沖を白い航跡が走って行くのを目撃する場面。窓からみえる海と航跡は、ミニチュアセット越しに撮っているように見える。おそらく本当の窓との合成カットなのだが、なんとも巧みで自然。3人が逃げるあとを、ラゴンが追いかけてくるところは、巨大な人間風の怪物という異形ぶりがやけに生々しい迫力。山や森の緑が作り込まれているのも素晴らしい。本物の木や植物を植えているんだろうけれど、結構びっしりと密集しているので、そうすると画面の厚みがやっぱり違ってくるものである。他に、フジ隊員が転んで、そこからカメラが凄い勢いで上に振られると、丘の向こう側にいるラゴンに繋がるカット。合成ではないのだが、うまく繋いであるので、迫力がある。

今回もホシノくんの活躍が見せ場のひとつになっている。フジ隊員とミチコちゃんを守って前に出たり(ラゴンの手をナイフで刺す)、ラゴンの気を引くために大声を出して走って行くなど、大人顔負けの大活躍。また、ミチコちゃんという、葉山マリーナで知り合った、こまっしゃくれな女の子もおかしい。「ミチコ、スパゲティとかサンドウィッチとか大好きよ」と言い放つ。芝居が達者なので、厚かましさも倍増される感じ。それで食べてるミートソーススパゲティとかサンドウィッチとか、なんか美味しくなさそうなのよ、これが。絶対のびてるし。サンドウィッチも具が薄い!ああ、昭和の食堂風景…。あと、サザエさんのワカメちゃんは、今もパンチラなのかどうか知らないが(サザエさんは20年以上みていないので)、あれは別に漫画やアニメの誇張表現ではなくて、昭和41年当時には割とある風景のひとつだったのかな、と思わせるのがミチコちゃんの豪快なパンチラぶり。ミニのワンピースみたいなものなのかな。パンツ出まくり。まあ、男の子の半ズボンも、横パン、横チンが当たり前ではあるくらい、短かったからねえ。

あとは、転がって行く原爆が怖い!見ながら、「ヒー!」と声をあげてしまう。それから、ラゴンに襲われる船の乗組員を大塚周夫さんが演じておられた。年を取ってから見ると、昔とは違うところに目が行くようになる。今まで見て来たものと、違う面白さが生まれてくるな。