眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

80年代の忘れられた映画 「あ」

双葉十三郎・著「ぼくの採点表」の、60、70、80年代篇の3冊を持っている。ときたま、パラパラと見返すのだが、表の映画史には全く顔を出さないような映画のタイトルが次々に出てくるのが面白く楽しい。

公開時にはそれなりに話題になったり、映画雑誌で取り上げられたりしたものの、それ以降はほとんど顧みられない映画のことが懐かしい。わたしの場合だと、それは十代だった80年代の映画があてはまる。ということで、本をめくりながら、「そんな映画あったなあ」というタイトルを列挙するという企画です。あくまでもわたしが懐かしいと思ったタイトルに限っております。

「アイアン・イーグル」
80年代のアメリカは、レーガン大統領政権下で「強いアメリカ」が強調されていた時代。敵国にやたらとミサイルをぶっ放す乱暴な映画が多かった。この映画もそんな中の一本。クイーンの「ワン・ヴィジョン」が主題歌に使われていたのもまた懐かしい。

主演はジェイソン・ゲドリック。今はどうしているのでしょうか。続編「メタル・ブルー」では、映画開始早々に撃墜され死亡、というあんまりな退場でしたな。因みにシリーズはその後「エイセス」「アイアン・イーグル4」と続く。驚いたのは4作目。未見ゆえあらすじを読んでみると、ジェイソンが演じたダグ(演じているのは、ジェイソン・カデュー)が再登場する話しになっている。死んでいなかったのか、あれはなし、ということになったのか。どうせ誰も気にしちゃいないけれど。

アイスマン
双葉先生は、あまり褒めていない。そのせいもあって、未見のまま。甦ったネアンデルタール人を演じていたのがジョン・ローンだった、と後で話題になったくらいに地味な映画だった。世間の評もそれほどではなかったと記憶するが、翻訳家の伊藤典夫がやたら絶賛していたことは覚えている。

本人はかっこいいけどな。人気あったなー。

「愛と栄光への日々」
マイケル・J・フォックスも人気があった。この人は、人気に胡坐をかかず、シリアスな役柄への積極的な出演作があり、これもその一本になるかな。

ジョーン・ジェットが姉、ジーナ・ローランズが母、というのは凄いな。脚本・監督はポール・シュレーダーだったんだねえ。

「愛と宿命の泉」
これはフランス映画。二部に分かれた大作だった。これも公開時には話題になった。ミニシアターがブームになったこともあり、80年代は色々な映画が公開になっていた、という印象がある。

愛と追憶の日々
母と娘の長きに渡る人生ドラマ。シャーリー・マクレーンがアカデミー主演女優賞獲っているんだけど。もう誰も口にしない映画ではなかろうか。昔、テレビで一度見たっきり。まだ若かったせいもあって、何も感じるものがなかったが、今みたら印象は変わるだろうか。

「愛のイエントル」
ポーランドユダヤ人女性が、男装してまで勉学に励む。バーブラ・ストライサンドが監督もした主演映画。我ら世代にとってはバーブラは有名人だけれど、今の人にとっては、それ誰?状態でしょうな。最近で言えば「アルバート氏の人生」にも多少通じるような映画、であったような。

「愛の7日間」
幸福に暮らす大学教授のもとに、フランス人女性との間に生まれた男の子が訪ねてくる。これはずっとみたいと思っていながら、その願いがまだ叶っていない映画。監督がディック・リチャーズ、大学教授はマーティン・シーン。製作にエリオット・カストナーの名前があるのが意外ですな。

「愛は危険な香り」
変態ストーカーと戦うはめになる女性の話し。ダイアン・レインは、この時期、大人の女優への脱皮を図ろうと躍起になっていた。ヌードも辞さぬ姿勢があっぱれではあったが、どうにもその必死さがみていて辛かったよね。

画像は乱れているが、これは嬉しい日本版の劇場予告編。見たくなってくるなあ。

「青い恋人たち」
なんか海でちゃらちゃらしている若い人たちの映画。テレビでみたんだけど、全く記憶になくて。ランダル・クライザーだから仕方ない、ということでもないのだが。夏の映画だったな、という程度だが、しかし懐かしくはあるな、と。

「赤ちゃんに乾杯!」
アメリカでリメイクされた「スリーメン・アンド・リトルベビー」はまだ思い出される機会がありそうだが、そのオリジナルはどうですかね。こっちの方がスマートで、大人の映画だったですね。と同時にかわいい映画でもあったな。と思うのだが、これまた昔見たっきりなので、その感想もなんとも心許ないものですな。

これも日本版の劇場予告。コピーもだが、フォントも、文字の配置の仕方も懐かしい感じ。普通にコメディ映画として売っていたんだな。

「アグネス」
修道女のアグネスが出産し、しかもその子が殺害されてしまった。しかし彼女は性交渉も妊娠もしていないという。本当に処女懐胎なのかどうかを巡る、調査のためにやってきた精神科医と院長との闘い。メグ・ティリー主演で、医者がジェーン・フォンダで、院長がアン・バンクロフト。いやー、今なら何は無くとも駆け付けたい布陣による映画なんだけど、未見。これもずっとみたいと思っているのだが。

「あ」でいえば、だいたいこんなあたりが、懐かしい、と思った映画。さっと見返せるものもあれば、難しいものもあり…。ブルーレイなどのパッケージソフトはこの先すたれ、配信が主流になると言われているけれど、それでも「愛の7日間」とかも配信されるようになるだろうか。それに「この映画は誰も借りないから削除」とか、配信元が倒産するとか、そんな可能性もあるだろうし。結局、みられるときにみて、己の記憶にとどめておくしかないのだな。が、その記憶ももはやあやふやになりつつあっては…。現状に不満を募らせるばかりでなく、適度に懐かしんでいるのが幸福なのかもしれないね。

愛と追憶の日々 [Blu-ray]

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愛と追憶の日々 [DVD]

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今のところ、正規品でDVDが手に入るのはこの作品だけ。中古品にあたれば…といってもVHSだったりする。色んな映画がDVDで出たような気になっているけれど、実はちっともそんなことはない、ということ。ブルーレイではそれがさらに厳しくなり、次のUltra HD Blu-rayではそれ以上にソフト化される作品の幅は狭まって来ると思われる。商売になりそうもない旧作が再発売される可能性は低い。だから、簡単にVHSやDVDを捨ててしまうのはどうかと思いますよ。