眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

全く覚えていない映画(5) 「謎の人喰い魚群」


ビデオタイトルは「キラーフィッシュ」。廉価盤メーカーから再発売されているのに気付いた。

キラーフィッシュ LBXS-004 [DVD]

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監督はアンソニー・M・ドーソン。出演はリー・メジャース、ジェームズ・フランシスカス、カレン・ブラック、マーゴ・ヘミングウェイ

テレビ放送タイトルは、86年8月23日(土)のゴールデン洋画劇場での初放送時は、「謎の人喰い魚群」。後に「恐怖の人食い魚群」のタイトルでも放送されているようだ。以下は当時の映画日記から。激しくネタばれしているけれど、気にする人は、日本にせいぜい3人くらいだろうから、特に伏字にもしません。

『アンソニー・M・ドーソンの映画で、このタイトルならキワモノと見る前から決めつけてもかまわない。それにイタリア映画だしB級映画だなーと思ってみていると、これは意外と拾い物ではないかなーと思いだした。

発電所の金庫からエメラルドを奪った4人組。それにドライバーを加えた5人はエメラルドをダム湖に捨てる。彼らのボスがジェームズ・フランシスカスで、2ヶ月後にエメラルドを引き上げようということになる。が裏切り者どもがその前に引き上げようとして、結果、雑魚の3人は、アッと言う間に、フランシスカスの策略でダムに放たれたピラニアに食い殺されてしまうのだ。フランシスカスとカレン・ブラックはエメラルドを引き上げ帰ろうとする。と、ボートが壊れており、仕方なく歩いて帰ろうとするところを突然、竜巻が襲う。たまたま停泊していた船に飛び込むと、そこには仲間のリー・メジャースがいた。そしてダムが決壊、ピラニアが湖に流れ出してしまい、船も岩に乗り上げてピンチに陥る。結局、フランシスカスが皆を見捨てて逃げようとして、思った通りピラニアにやられてしまう。船は沈むが残りの者は救出される。そしてオチがある。エメラルドをエメラルドを入れていた箱がブラックのところへ届けられ、国外へ逃亡しようとしたが中はカラッポ。メジャースたちがかっさらってしまう、てな内容だった。

イタリア映画のバイタリティがつくづくと感じられる好編だ!といっても不満がないわけではない。メインの強盗の話しがあまり生きてないし、ダム決壊のあとの湖周辺のパニックが描かれていない(少年がやられるところがあるけど)。それにラストのオチのつけかたもうまくない。とってつけたようでおもしろくないです。しかしながら、あきらかにジョー・ダンテの「ピラニア」のプロットを盗んでいるとはいえ、うまく料理している。

なによりもの見せ場は、オープニングの発電所のシーン。時限爆弾で吹っ飛ばされる燃料タンクなどが迫力たっぷりで、これが特撮なのだ。それでも別の映画から持って来たようなシーンでもあるので、うむむと思っていたら、ダムの決壊シーンで度肝を抜かれた。なんともリアルで迫力たっぷり、とにかくうまいのである。水の重さが画面から伝わって来る。船が波にあおられるところもなかなか。つづいてやっぱり発電所みたいなところを水が襲うところも圧巻なのである。なんで水をくらったくらいで爆発するのか不思議なのだが、タンクが次々と爆発、タンクをつんでいる車がふっとぶところなんて圧倒的迫力だ。鉄骨が流されていくなんてたまらない。陽光の下でこれだけの破壊スペクタクルを迫力たっぷり、リアルに描きだされると東宝特撮ファンとしてはたまらなくいい。これがお世辞抜きでうまいから困ってしまうのである。このスペクタクルシーンのおかげで、この作品かなり得している。』

みたいな感想。もしも、上の感想を読んでくれている人がいたら、なんという下手な文章だと思うかもしれないけれど、それでもちょっと修正している。今も昔も下手くそなんで嫌になってしまうけれど…。

どうやら動物パニックものを期待してみたら、それほどのことはなく、それよりもミニチュア特撮が大迫力だったようでそこに興奮したらしい。確かにそれはぼんやりとした記憶があるのだが、やたらリアルと書いているのも理由があって、おそらくオープンセットでの撮影だったからではないかと思う。太陽光下で撮ると本物のように見えることを、樋口真嗣の特撮で思い知らされる前のことなので、それでこんなに喜んだのだろう、と。そうかそうか、当時の自分よ、と思って探してみるとその特撮シーンがみられるのだが、

今みてもこれはミニチュア特撮としては、かなり盛大な水と大爆発。そりゃ興奮もするわ。

放送当時は、未公開映画と聞くと、それだけでまだ見ぬまだ知らぬ映画だと、ワクワクしていたものだ。つまらぬであろうという気持ちと、いやもしかしてという気持ちが相半ばするあの感じが懐かしい。出演者もそれなりに豪華なので、劇場公開されてもおかしくなっただろうに、何故か未公開。実はこの映画は、イギリスのITC製作の映画だったのだ。カルロ・ポンティの会社も絡んでいるようで(製作はアレックス・ポンティ。カルロにとっては、ソフィア・ローレンの前の妻の子)、なるほどそれでこういう海外に販売出来るようなキャスティングになったのか、とも納得。

海外のポスターなど。


これ、タイトルが「ピラニア2」になってる。どこの国もこういうインチキがまかりとおるものなのだな。

そして主題歌。ディスコ系、なかなかかっこいい。