眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

劇場版「相棒Ⅳ」の週末成績を見て思うこと

「相棒Ⅳ」の週末の興行が好調だった。ランキングでは1位。前作「相棒Ⅲ」との比較では146.3%の出足だったという。

さて、ネットで芸能ニュースなど読んでいると、「相棒」ネタはよく上がっている。水谷豊の圧政により、脚本家が離れているだの、相棒役に不満で今シーズンで降板になるだの、視聴率が前シーズンほどには上がっていないのだの…。仮にこれらのネタが事実だとしても、今回の映画が好調なスタートを切ったこととは、何も関係がないことが実際の成績をみると判る。むろん、出足だけは好調(スクリーン数も多い)であとはずるずると後退する可能性もある。しかし、内容も興行も成功とはいいがたかった「Ⅲ」ですら、21億円の成績なのである。1作目の44億円は無理でも、21億円くらい稼げば、東映テレビ朝日にとっては万々歳ではないのだろうか。

何が言いたいのかというと、芸能ニュースと、映画の成績のズレだ。そして、さかんに「相棒」の否定的なネタをニュースにしても、ドラマをみている人々にとっては、それは大して意味のないことなのだ、ということ。ネット上の芸能マスコミは、本当にドラマをみている人(視聴者)への取材などおそらくしていない。SNS上に現れる否定的な意見をつまみあげて、否定的な論陣を張る。喜んでみている人たちの意見をすくわずに、自分たちに有利な意見だけを取り上げる。ネットやテレビの視聴率という、具体的なブツとして存在しないものの上ではまるで真実のように思えることが、映画の興行成績という厳然たる現実の前には、消し飛ぶ。これだけの成績を上げるということは、これだけの人間に支持されているという、現実だ。それらの記事が事実だとしても、視聴者はずっと番組を見ている。だから今回の結果なのだ。

視聴率は上がらず、悪い噂が多く、出演者のトラブルが続いている。記事を書いている「相棒」という枠だけにしか興味のない人、芸能ニュースだけで「相棒」に接している人にとって、今回の週末成績は不思議だったのではないだろうか。そのどちらにも、実際にドラマをみている人間、という存在が欠けている。ドナルド・トランプが大統領になったときには、エリートマスコミが意識していなかった人々の存在がクロースアップされたが、大きくとらえれば同じことのような気がする。自分に都合の悪いことは書かない。そんな人は存在しない。これが、ごく一般的なこととして世間を覆っているということなのだろう。だが、存在しないとされている人々は、声高に叫ばないだけで、現実に生きている。うわべだけを拾っていく芸能ニュースは、一体どこへ、誰のために発信されているのだろう。事実を伝えるだけ、と思っているのかもしれないが、周辺事情や伝聞で書かれた記事が事実と言えるかどうか。

奇しくも、今回の劇場版4作目の「棄てられた国民」というテーマと似通った問題なのかな、とも思う。ま、記事を書く人は、これも噂だけ聞いて映画は見ないだろうけれど。