眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「エンター・ザ・ミュージック」「映画音楽特集 第13弾:平成ゴジラ3部作」

今年(2017年)の夏、関西フィルのサマーポップスコンサートで演奏された、平成ゴジラ3部作組曲。その演奏を中心に、藤岡幸夫と作曲の大島ミチルトークを交えながらの30分。最高ではないですか。映画音楽特集ではお馴染みの有村昆をゲストに招き、ゴジラシリーズについての解説もあり。

番組で紹介されたのは、「ゴジラのテーマ」「ゴジラVSメガギラス」「メカゴジラのテーマ」「東京SOS エンドロール」「機龍隊のテーマ」の5つ。今回の組曲は、藤岡氏のたっての願いで大島ミチルが編曲構成したもの。ただ、本来は「エンドロール」が組曲の最後だったのだが、サマーポップスでこれが最後だと…という判断から4曲目に変更されたということで、「(これが最後だと)確かにわたしもどうかなと思ってた」と、大島さんも笑っておられた。


以下、簡単に、大島さんのお話まとめ。

最初にゴジラの話が来たとき、実はゴジラをあまり知らず、怪獣プロレスだろう?くらいの感覚で取り組んだのが、逆に気負いがなくて良かったのかも。

映画本編パートはともかく、特撮の画が完成していないことがあり、その場合、ゴジラの尻尾や熱線はマジックで描いたものだったので、可笑しくて爆笑しながら録音した。

手塚監督からのオーダーは「ゴジラというのは、これくらい(手をぐっと広げて)大きくてこれぐらい重たくて、凄く怖い。それを音楽にしてくれ」ということだった。

ゴジラの音楽は、映画の仕事としてはこれ以上ないくらい楽しかった。何故なら、スタッフがみな子どものように生き生きとして楽しくてしょうがないという感じだったから。

「×メガギラス」は東京での録音だったが、低音が多過ぎてスタジオがビリビリしていたので、ガムテープを貼ってビビりをおさえて(!)録音。加えて、効果音に音楽が負けてしまうという事態に。ゴジラが鳴いて物が壊れる音で音楽が聴こえなくなってしまい、「×メカゴジラ」はそれを踏まえて(「ゴジラの鳴き声に勝つぞ」と)ロシアの大編成オーケストラで録音した。


といった感じ。お話としては、インタビュー記事で読んで知っていたこともあるけれども、ご本人の口から聞けるということがうれしく楽しい。わたしは平成の手塚昌明監督(コンサートにも来場されたとか)の3部作が好きで、大島ミチル作曲のゴジラのテーマも大好き。大島さんはゴジラへの思い入れはなかっただろうけれど、異常に機動性の高い重戦車をイメージさせるようなテーマ曲にしたことが、本当に素晴らしいと思う。大島さんのゴジラのテーマが、他のゴジラの音楽と決定的に違うのは、大きくて重くて怖いのは勿論、さらに「かっこいい」というのが乗っかっているところ。これは慧眼だと思いますね。

番組の最後は、伊福部昭の「SF交響ファンタジー第1番」からゴジラのテーマの抜粋を流しながら。30分ながらもお腹いっぱい。唯一残念と言えば、時間の都合上、演奏にトークが被るので、その部分の演奏が聴きにくいことか。仕方がないですけれど。フルできっちりと聴けたのは「ゴジラのテーマ」と「機龍隊のテーマ」の2曲。保存版ですな。

放送日/2017.12.11.(月)/BSジャパン

CDはいずれも廃盤。復刻を願う。「映画音楽ベスト」には、「×メカゴジラ」の「Gのテーマ」が収録されている。が、解説を読むと、「作曲者に自らがオリジナルスコアにより再録音して収録」となっている。となると聴いてみたくなるな。