眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

スリーピー・ホロウ ★★★★

監督 ティム・バートン/1999/米

1799年。科学捜査による逮捕を目指す警察官イカボットは、野蛮な捜査が横行しているNYでは変人扱い。郊外で発生した首切殺人の捜査に飛ばされる。首無し騎士による連続殺人と噂される事件を、イカボットは科学捜査と論理と推理によって解決しようとするが…。

村の特権階級である地主、判事、医師、牧師に、地味ながらも個性あふれる俳優を置いてドラマの土台をがっちりと固め、見事なプロダクションデザインや衣装や撮影によって、ファンタジーとホラーとコスチュームプレイといういずれにも説得力を持たせる演出力。首無し騎士はダークファンタジーの領域であるにもかかわらず、事件には黒幕がいる犯人探しのミステリ映画であることも存外な愉しみ。怪しげな人物を配置して誰が犯人かを最後まで引っ張る脚本が嬉しい。死んだと思われた人物が実は死んでいなかった(=犯人)ところも、ずるい感じはあるが処理の仕方としては悪くなし。血がぐちゅぐちゅ滲みだす「死者の木」のビジュアル、残酷なのに下品になりきらない描写、イカボットの使う奇妙な器具の数々、レイ・パークが演じた首無し騎士の見事なアクションなど、見どころたっぷりで飽きさせない。