眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

若おかみは小学生! ★★★★

監督 高坂希太郎/2018

交通事故で両親を亡くし、祖母が経営する旅館「春の屋」に引き取られた小学6年生のおっこ(関織子)。事故であの世に近づいたせいで、宿に居ついている幽霊ウリ坊が見えるようになる。祖母の親友だったウリ坊は、後継ぎがいない春の屋の先行きを案じていた。命の恩人でもあるウリ坊の願いで、おっこは若おかみになる修行を始めることに…。

小学生が若おかみになる職業アニメという捉え方だけでなく、学校の様子やライバルとの関係など、日常系アニメの側面を忘れていないのは勿論、何よりも両親を失った心の傷を、おっこが如何に受け入れていくかということに重点が置かれている。事故の瞬間を逃げずに見せるところから、描こうとしているのが表面だけのお仕事ものではないことは明らかだが、「えっ」と思わされる終盤の局面など、何もそこまで追い込まなくても…とも。プロとして立派でも、子どもが乗り越えるものとしてはあまりにも過酷で、ラストの神楽の場面も含め、子どもの試練を感動に置き換える自分が嫌になる。描きにくそうなアングルや、さりげない動きも誇張した動きも、ごまかしや省略を出来る限りせず丁寧に描写される技術面も素晴らしい。小林星蘭にも拍手を!