眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

コンタクト ★★★★

監督 ロバート・ゼメキス/1997/米

エリー・アロウェイは幼い頃から宇宙への憧れを抱いて電波天文学者となり、今は日夜、外宇宙生命体との接触を目指す生活をしていた。だが現実的でないという理由で予算を削減され、窮地に立たされたエリーは、大富豪ハッデンからの援助を取り付ける。そして4年。ついに謎の信号を彼女たちはとらえる。

地球からどんどん映像が引いていき、太陽系を飛び出し、銀河系を抜けて…それが幼い頃のエリーの瞳へと繋がる冒頭部が、実は150分をかけて描かれる映画の根本をすべて語っているように思える。宇宙の神秘と自己の内面とが同一線上にある、科学的にはそうではないが、精神的にはそうとしか言いようがないという結論にエリーが至るまでのドラマと言ってもいい。カメラが引いていくショットが多用され、そして引いていくことで全体像が見渡せる。遠く離れて客観しすることによって、実は自分の内面を見つめることが出来る。逆から見れば、自己を見つめることが宇宙的視野に立つことに繋がる、と。また、宇宙(人)と繋がるということは、世界の人々と繋がるというのも同義であり、人がおそらく根源的に抱える「孤独」について、我々は孤独ではないと断言するに至るのも美しかった。