眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

メイン・テーマ ★★★★

監督 森田芳光/1984

幼稚園の保母である小笠原しぶきは、送り迎えにくる園児の父御前崎のことが好きだったが、御前崎一家は大阪に転勤に。しょんぼりするしぶきを海辺でからかう青年、大東島は見習いマジシャンで、ふたりは気の合うような合わないような微妙な関係のまま、大阪へと向かう。そして大東島は故郷の沖縄へ、しぶきは御前崎に会いに行くのだが…。

ひと言であらすじを説明出来ないところに、この映画の面白さと難しさが表れている。それ意味ある?というような冗談のような一瞬のワンカットや、奇妙なやりとりが随所にあり、前後の繋がりを無視したぶつ切りの状態で挿入されている印象。ではそれが笑いに繋がっているのかというと、大変微妙な味わいであることは間違いなく、が、それが如何にも森田芳光的世界であるのもまた間違いがなく、過去作で描いていたものと同一線上にあるのも間違いがない。そこが面白さだが、少々羽目を外したか、独りよがりになったとっつきにくさもあり、抵抗感を示す意見が出るのも判る。中身がないというのなら、確かにそうかもしれないが、好きな人間からすれば「それがいいんじゃないか」と反論が出来てしまう幸福な映画でもある。