眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

ある母の復讐 ★★★

監督 イ・ジスン/2013/韓国/

10歳になる娘と暮らすシングルマザー。その娘がレイプされる。精神的にも肉体的にもダメージを受けた娘を狙った犯人を、一刻も早く逮捕してくれと懇願するが、警察も別居中の夫も他人事。娘の証言を頼りに母は一人で犯人を捜し始める。

最初に警察に行った時の制服警官の適当な対応、担当刑事の捜査の進め方(「勝手な行動は困る」「手順を踏まないといけない」と、主人公を非難)、自分の名声だけが大切な夫、犯人をみすみす逃してしまう警官など、主人公を取り巻くゴミのような人間たち。頼りにならない社会、人間、警察。社会から見捨てられた者は、アンダーグラウンドな世界に頼るしかないのだろうか、主人公の行動は私的制裁へと向かう。歯を徹底的に痛めつける場面に異常に力が漲り、一気に下世話な見世物に。娯楽映画としては手堅いが、社会問題を孕んだテイストは消え、この決着の付け方でいいのかどうか。また、犯人の目星となる赤ずきんに関しては明らかに描写不足な上、部屋を探し当てる場面も、地道に足取りを追うドラマが急にファンタジーのようになっているのが不可解。本来はもっと長かったのをカットしたのだろうか。74分という上映時間は如何にも短い。