眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

ヴェノム(吹替) ★★★

監督 ルーベン・フライシャー/2018/アメリカ/劇場で/

ライフ財団の探査船が宇宙からの帰還中に墜落。他天体で捕獲されていた生命体の一つが脱走し、宿主(人間)を次々と変えながらアジアからアメリカへ向かう。そのライフ財団の内情を暴こうとして圧力をかけられレポーター職をクビになったエディは、財団の研究者からのタレコミで内部に潜入。しかしそこで生命体に寄生されてしまう。

ポスターや予告編から想像されるものとは違い、意外と真っ当な(ダーク)ヒーロー映画。エディとヴェノムのコミュニケーションは、体を乗っ取られてパニック状態になったところでそれが笑いとして昇華される娯楽映画なので、シリアスに寄り過ぎない。むしろはっきりと、傍迷惑な人物に気に入られて、引っ張りまわされる普通の人の受難のコメディと言った方が良いような気もする。しかもそのやり取りは、例えば「寄生獣」の新一とミギーのそれを思い出してみたり、吹替だとヴェノムの声が中村獅童ということもあり「デスノート」のリュークも影もちらついたりして、見ているこちらの事情とはいえ、どこか微笑ましい空気すら漂う。おおよそ想像されるパターン通りに展開するので、既視感に満ち過ぎているが、愉しく見られる映画のよさを実感。