田渕由美子全作品集Ⅱ そよ風の輪舞曲／南風社

写真は集英社りぼんマスコットコミックス版『林檎ものがたり』より。

ずいぶん前に買ったっきり、本棚の後ろに隠れていたのを発見。第2巻発売の時点で、この全集は第4巻まで予告されていたが、結局その後が出なかった模様。思ったほどには売れなかったのか…。しかしそんな事情と関係なく、久々に読む田渕由美子はやっぱりとてもよかった。意外と長編の連載がないせいで、代表作、といわれてもピンと来なかったりするんだけれども、ここに収録されている『フランス窓便り』や『林檎ものがたり』などはまごうかたなき代表作と言えるものであろう。個人的には『林檎ものがたり』の第1話が、子供の頃初めて読んだ田渕由美子ということもあって懐かしく、そして今読み直してみても、自分の目に狂いはなかった、と思える。田渕由美子が好きだったことは、絶対に間違いではなかった。好きでよかったとしみじみ思う。

読み返してみて結構衝撃的なのは、主人公が平気でたばこを吸っていることだろうか。たばこを吸う女性主人公は珍しくはないだろうが、ヒロインが、それも普通の女の子がスパスパやってるのは、当時はまあちょっとカッコイイ感じだったんだろうなあ。それと『林檎ものがたり』のエピソードⅡは映画の『フォロー・ミー』の変奏ですよね。やっとそんなことにも気付けましたよ。