眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「冬の終わり、青の匂い」 感想

冬の終わり、青の匂い』(百名哲/エンターブレイン)

短編集。色んなジャンルの色んな話が描かれている。いきなりねこが普通に話している(主人公の心の声でもある)『ばかねこ』や、ロボット兵器の整備の話『整備兵』、はっきりしたことは結局語られない『接ぎ木』はホラーテイスト、といった感じ。だが、地道な人間(青春)ドラマの方が作者の持ち味としてはしっくりするようで、特に『聴こえてくる歌』と『桜の頃』はじわっと来る逸品。実は『別れ』をテーマにまとめられた作品集で、ワンテーマでこれだけ広がりのある世界を作ることが出来るというのが素晴らしい。