眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「演劇部5分前」第1巻 感想


演劇部5分前(1)』(百名哲/エンターブレイン)

玉野高校演劇部の部員は3人。しかも3年生のみ。顧問はいないし、ろくに練習もしていないし、芝居を見せる機会もない。やる気はないことはないようだが、活動らしい活動などまるでしていないダメな部である。

という始まりで、幼稚な無責任さを盾に何もしない姿が非常に腹立たしい。同時に、奇妙なギャグめいた…というかデフォルメのキツイキャラクターの崩し方をしていたりして、そこがまた面白くなくて、『冬の終わり、青の匂い』の良さがまるで生かされていないのが不満…と思いながら読み進めると、5話くらいから、そこからが本番であるかのように、ストレートな青春ものに変化していく。これはいったい何なのか。担当の編集者が変わったとか、描き方を変えようという話になったとか、何かなければこうは変わらないだろう、と思うほど。勿論、いい方へと進みだして、この後半部分はとてもいい。主役がやっと主役として動き出し、となるとドラマが生まれて広がりが出てきて、次を期待したくなるというものだ。