眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

Daddy Long Legs (勝田文/集英社) 感想

表題作は言うまでもない、ジーン・ウェブスターの『あしながおじさん』。舞台を昭和初期の日本に移して描かれているが、勝田文作品としては非常に真っ当かつストレートな内容で、素直に読めてしまうのがいいですね。

一方、『天馬』『パーラー』『シンガポールの月』の3篇は、勝田節がうなる内容。単純な恋の話にはたいていならなくて、微妙な立ち位置の人たちの話が多く、どうにもならないことをどうにもならないまま受け入れて行くしかない、あきらめるしかないけれどあきらめきれない、そんな展開と結末ばかり。人間関係の距離感描写の絶妙なバランスの取り方が素晴らしい。苦味や傷みを直接感じさせず、ふわりと遠巻きにそれを見るような、どこか達観したような感じが、ハッピーエンドとも言い切れない話だったりするのに、なんだかいい話のように思わせてしまう。『ウランバナ』や『かわたれの街』などもそうで、ふらふらとしてもやもやした話を、淡々と、でも潔く語るところが勝田文の魅力ですね。

この夏のホラー映画3作。



夏のホラーと言いながら、大阪での公開状況は悲惨。『アナザー』は全国公開作品だからちゃんと見られるけど、『口裂け女リターンズ』は8月25日からシネヌーヴォ(Xかもしれない)、『異形』に至っては第七藝術劇場みたいだけど劇場サイトには全く影も形もない。秋以降なのか…。とはいえ、見られる以上、文句は言わない。

東京では、特殊な映画をかけてきたシアターN渋谷、銀座シネパトスが閉館することが決定。この手のジャンル映画の上映先が減って行くという現実がじわじわと迫って来ている。大阪だってどうなるものやら分かったものではない。映画が無事に上映されることは半ば奇蹟だと思って、その出会いをきちんと味わいたいものである。

メル・ギブソンの『get the gringo』が『キック・オーバー』の邦題で上映が決定。10月13日からの公開というと遠いようだが、すぐやってくる。予告見てるだけで燃えてきますな!