眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「キャビン」をみる

シネマート心斎橋で『キャビン』をみる。

何書いてもネタばれになるので注意




この作品の何が一番面白いかって、想像外に飛び出して行く話の加速力とハッタリに尽きる。80年代ホラーの定石をひねった設定だけれども、実はホラー映画としての怖さはほとんどない。中身はそれなりに予算のかかったホラー映画なので…つまり最近の、日本で劇場公開されるレベルのそれらの映画を、怖いと思ってみていない(わたしのような)観客にとってはたぶんなんとも思わない描写だし、大体、びっくりさせるための大きな音、唐突な登場、出現、といった描写が手ぬるくて、まるで驚けないという致命的な演出ミス(計算か?)も問題だろう。むしろきちんと物語ろうとする姿勢があることが意外であり、そういう点では脚本・監督のドリュー・ゴダートにはなかなか腰の据わった所も見受けられ、至極まっとうな娯楽映画を志向していることの健全さが嬉しくなる。しかも物語の先には、クトゥルー的な人類以前の邪悪な神を封印しているなどというハッタリがあり、ホラーキャラクターのオールスター顔見せ興行が待っているという大サービスもある。これらに想像がついてしまうとか、ある程度ネタ仕入れてみてしまったとか、そんなことになった観客の皆さんは本当に残念でしたというしかない。あと、ホラー映画をみたことない、という観客にも面白さが判らないだろうがそれはまあしょうがない。

クリス・ヘムズワースが出ているのは『マイティ・ソー』以前だからわかるとして、リチャード・ジェンキンスがどうして出ているのか…。きっと洒落の判る人なんだろうなあ。『アウトロー』でも、白黒はっきりしない判事を演じていい味だしてたな。あと主役のクリステン・コノリーがよかった。下半身がむちっとしているのがいい。