眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「ジャンゴ 繋がれざる者」をみる

なんばパークスシネマで『ジャンゴ 繋がれざる者』をみる。

くだらない会話を、悠揚たるペースで見せる演出と俳優たちの素晴らしさが相変わらず愉しく面白く、ありものの楽曲を場面にきっちりはめ込むセンスの的確さも素晴らしい。3時間近くかけて、ゆるゆると紡がれるドラマなのがなによりも他と一線を画すタランティーノ映画特有の面白さで、まねしようとしてもなかなか出来るものでもないだろう。

この映画で、熱いな、と思ったのは、クリストフ・ヴァルツジェイミー・フォックスに協力することを決意するところ。ジャンゴの妻がドイツ語を話し、名前がブルームヒルダと知り、キング・シュルツはドイツ人として彼女を助け出そうと思う。ドイツの誇り高き伝説になぞらえた男と女がいて、そこに自分がいるという偶然に何がしかの縁を感じた男は、元々何も関係がないはずの戦いに赴くことになる。ほとんど「義」の世界だ。そこに従ったがために、キングシュルツの人生はおそらく彼が考えていなかった結末をたどることになるが、義のために戦う男の姿は、現実にはどうあれ映画の中ではなんとも美しい。職業人として淡々と人を殺し、ジャンゴに友情すら感じ、義のために共に行動する男。今年のアカデミー賞クリストフ・ヴァルツ助演男優賞に選んだが、どうして助演だと判断したのだろう。映画見たのか?これはどっちも主演だろう。と思ってしまうほど、クリストフ・ヴァルツが良かったと。でも最後の彼の行動は少々唐突な印象。ああいうことになるのならもう少しそれらしい描写を入れておいた方がよかったのではないかと思う。

クレジットされているけどカメオ出演に近い俳優たちを探すのも愉しい。ブルース・ダーン、全然気付かなかったよ。あんなにアップになってるのに。あとオマージュが満載の映画なので元ネタのチェックをしている記事もあるが、そんなものは映画をみる上では一切不要。よっぽど気になる人は目を通せばよろし。マニアのこだわりを入れつつも、そこに縛られない映画に仕上げるところがタランティーノのスケールの大きさだ。