フライングガール(笠辺哲/小学館)をよむ
とても面白い。ちょっと、ぼーっとした主人公の山田くんが見舞われる受難の物語。彼がどんなに正直に話したところで、それが本当のことだとはとても思えないようなことが、トッド博士のところに起きているのだが、あまりにぼーっとしているので周囲には既に狂人のように思われているのがおかしい。彼の思い込みと、不思議な世界を受け入れてしまえる実はおそるべき度量の深さ、広さは、確かにけた外れの異能っぷりでもある。当人は大まじめでも傍からみると狂人、変人に見えるが、事実ここまで受け入れてしまうのはある種の変人である、というのがよろしいね。SF的趣向を外さない話の面白さ、軽妙な中に毒を隠している黒さ、独特の絵のタッチ、どれも素晴らしい。どの登場人物も魅力にあふれ、最後には誰もが愛おしく思えてしまう。全2巻で終了しているのが非常に惜しまれる。
- 作者: 笠辺哲
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/12/26
- メディア: コミック
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