眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『エンド・オブ・ホワイトハウス』をみる


アポロシネマ8にて。

監督はアントワン・フークア。撮影のコンラッド・W・ホールって、コンラッド・L・ホールの息子なんだね。

ミレニアムフィルムの製作なので過度な期待はしないし、VFXスタジオがブルガリアにあるからというのは理由にはならないとは思うけれど(どんな映画でもそんなものだといえばそうなので)、CGの粗さは相変わらず、お話の作りもかなり大胆で…と書いて行くと大味な凡作のように思えるが、決してそんなことはない。何よりもアクション映画としての楽しさがある。孤立無援の戦いもある。娯楽としての殺戮の醍醐味もある。それ以上何を言おう。また北朝鮮テロリストが本格的にアメリカ映画で暴れ出したことでも特筆されると思う。

どうしても引き合いに出されるのは『ダイ・ハード』で、孤立無援というのもそうなのだが、途中に、まんまな場面がある。1作目のアラン・リックマンブルース・ウィリスのやりとりが印象的な場面の再現。その割にはドラマとしてとりたてて面白く見せてくれるわけでもなく、ちょっとやってみました、程度にしかなっていないのだが微笑ましい感じ。ああこれやってみたかったんだね、と。判る気もする。

映画としてはシリアスな内容で、ストレートで生真面目な作り。アントワン・フークワ的にはこれでよいと思うし、ジェラルド・バトラー的にもはまっている。下手にユーモア入れるような作りではないのはそれぞれの個性をきちんと考えた上でのことのように思われる。話自体を荒唐無稽なもの、ととらえてもいいのだろうが、作り方の真面目さのおかげでそこまでの映画にはなっていない。わたしはそこがいいと思うのだが、人によってはだからつまらない、という意見もありそうだ。それにしても問答無用の破壊と殺戮の描写は凄まじく、『ダイ・ハード』もずいぶん昔の映画になったとしみじみと思うね。バイオレントな描写はもちろんあのころもあったけれど、今となっては牧歌的といえるほど、現在のアクション描写は苛烈極まるものがあるなあ。

バジェットに見合った中堅クラスの俳優たちがたくさん出ており、これも楽しいところ。アーロン・エッカートモーガン・フリーマンアンジェラ・バセットロバート・フォスターコール・ハウザーアシュレイ・ジャッドメリッサ・レオディラン・マクダーモット…と改めてこうして書いてみると、いやいやこれはこれでなかなか壮観ではないか。ジェラルド・バトラーの嫁役でラダ・ミッチェルが出ているのもうれしい。あまり出番はないけれど。