眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『あの頃、君を追いかけた』をみる

原作・脚本・監督はギデンズ・コー

以前このブログでも、みたい、と書いた、2011年の台湾映画。やっと公開されたのでみてきましたが、期待にたがわぬ愛すべき映画でありました。

↑因みにこの日本版予告編はちょっと詐欺。さわやかな青春ものに見せているが、実は映画の冒頭から結構な下ネタの連発。場内の空気が一気に引いて行く感じ。笑いが全然起きないというのがかわいそうなくらい。わたし?わたしはもうこういう映画は青春ど真ん中世代ですから。『パンツの穴』とか『グローイング・アップ』とか『ポーキーズ』とか。といってもセックスよりもオナニー中心なので、童貞くささのほうが強い。さえない学生時代をおくった人も安心して愉しめる映画になっているところがよろしい。

台湾の風景は、どことなく日本と似通っている感じがあって、中国や韓国や香港の街並みとは違う(気がする)せいでか、非常に親しみもわくのだが、制服姿もそうだし、日本のサブカルチャーが普通に入っているので、ますます違和感がない。ヒット曲や風俗は確かに知らないことではあっても、多くの日本人も自分のことのように映画に自分の若き日を重ねることが出来るのではないかと思われる。最初はくだらない下ネタ(ほめてるつもり)でスタートした映画は、次第に恋愛映画としての匂いを濃厚に立ち昇らせていくのだが、これがドロドロしていないのがまた泣ける。とても純情な恋愛…にまで至らないような関係が描かれるのだが、物語やその展開はもちろんながら、主役脇役問わず、若い俳優たちのちょっとした表情や仕草に、青春時代の輝きがキラキラときらめくのがまぶしくてたまらない。ことにミシェル・チェンの本作での輝きはおそらくその女優人生において、奇跡のごときものであろうと思われるほど。たぶん、他の映画ではそれほど可愛くないと思う。とりたてて美人というわけでもないし。役柄と彼女のキャラクターとが見事に合致した結果だ。ボンクラたちといっしょに空気椅子をさせられている場面なんてのは、単にマドンナではなくて仲間として受け入れられた感じが熱くてよかった。結局のところ、ボンクラ男子(おっさんもふくむ)は、この映画のミシェル・チェンをみて恋をするんだよ。そういう映画なんだよ。『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンや『僕の彼女はサイボーグ』の綾瀬はるかに恋するように。『サニー永遠の仲間たち』などとはまた違った男目線の、ラストシーンのさわやかさに、ぐっときていただきたい。

飯島愛が台湾で人気があったことは知っていたけど、小沢まどかとか大浦あんなとか、そんな名前が出てくるとは思いもよらなかったな。なんだかとても懐かしい気持ちになったなあ。