眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『新・死霊のはらわた』をみる

監督はJ・R・ブックウォーター。1986年のアメリカ映画。

作品の存在はずっと知っていたけれど、GYAOでやっていたので初めてみた。もうずいぶん前の作品だったんだなあ。

邦題はサム・ライミっぽいが、内容は『死霊のえじき』に影響をうけたもの。この作品が凄いのは、8ミリで撮影されているということ。16ミリですらない、8ミリですよ、8ミリ!それでこのクォリティ。自主映画であることを考えれば、かなりなものだと思う。監督のゾンビ好きが昂じて撮ったにしても、雰囲気は悪くないし、話もきちんと作られている。その枠をはみ出すこともなく、律儀な、正攻法のドラマ作り。描こうとしていることが明快で、無理をしていないので、グダグダになっていない。ちゃんと盛り上げていくのは素晴らしいよ。出演者が素人なのか、地元の演劇の人なのかは定かではないが、結構さまになっているのも大したものだ。それが素人芝居に見えるのは、彼らの責任ではなくて演出する側の問題だろう。だとしても、悪くいう気はさらさらない。特殊メイクの残虐ぶり、安い映画だけが生み出せる独特の荒々しさと寒々しさも、よい味わいである。憎めるような映画じゃない。よくぞ諦めずに最後まで撮りあげたなあ、と心底感心した。

ゾンビ撲滅隊(殲滅隊だったか)の隊員に、スコット・スピーゲルが。ここにサム・ライミとのささやかな繋がりがある。