眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『金田一耕助映像読本』をよむ

洋泉社映画秘宝EXの一冊。別冊映画秘宝との違いは何なのだろう?

金田一耕助が登場した映像作品、となると、やはり市川崑石坂浩二の映画シリーズ、それから古谷一行のテレビドラマの二つが強い印象を残しているが、映像化作品はそれらだけではない。この二つはとびぬけて有名なだけに、ここでもメインの扱いになっているが、しかし他にもたくさんの作品があるのだ、とそれらを紹介する内容になっていて、マニアではない人間には、なるほどそういうものもあるのか、と非常に興味深く、最後まで愉しく読めた。もはやフィルムが現存していない作品を、残された脚本からどういう内容になっていたのかと想像するしかない、片岡千恵蔵の『八つ墓村』『犬神家の謎 悪魔は踊る』といった映画、テレビ創生期の生放送ドラマ『月曜日の秘密』など、みることの叶わぬ作品に思いをはせるのは愉しい。

90年代にはやたら作られていた印象のある2時間ドラマだが、こうしてみると、シリーズ化されたのは片岡鶴太郎が9本、小野寺昭が4本、とこんなものだったかと拍子抜けする。とはいえ、ここに古谷一行の本家シリーズもあったわけだから、やっぱり多いよな。浅見光彦がテレビ局ごとに、違う俳優でシリーズになっているのと同じだ。役所広司中井貴一は一回だけ。役所版は何本かあると思ってたな。最近だと稲垣吾郎版が5作品。これはもっと続くと思っていたので途絶しているのは勿体ない。でも映画版の構想もあったようで、もしかしたら、という一縷の望みを捨てたくない。同様に、岩井俊二の『本陣殺人事件』も映画化されれば…と思う。あと、『明智小五郎VS金田一耕助』は意外と面白かったので(明智伊藤英明金田一山下智久)こちらもシリーズ化を望みたいが、やるならオリジナルになるだろうから…となると、物足りない内容になりそう。

BSプレミアムで2月19日に『犬神家の一族』、2月26日に『悪魔の手毬唄』が放送予定。3月の予定はまだ判らないが、もしかしたらあとの3作も放送されるのかもしれない。ちょっとだけ期待していよう。