眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『なんちゃって家族』をみる

監督はローソン・マーシャル・サーバー。2013年のアメリカ映画。

最近やっと、小さな規模ながらも劇場公開される機会が増えて来たアメリカン・コメディ映画だが、油断するとあっさりDVDスルーになる可能性は依然高い。昨年全米で1億ドル以上を稼いだ映画でもこの規模、公開されたことは僥倖としか言いようがない。

下ネタの連続、打算とお金で動く下世話すぎる人たち、非常識な笑いの取り方、などなど、下品な映画であることは間違いないけれど、なんというのだろう、とてもチャーミングな映画でもあった。下世話であっても人の良さが滲みだしてしまう人たちが愛おしいし、そこをうまく描いてあるのがみていて心地よい。うわべだけの疑似家族が、疑似なりのまとまりを作っていくのも定石ではあっても楽しい。それぞれに見せ場が用意されているのもよかった。特にウィル・ポールター演じる大学生が、もてない感じ丸出しでよろしく、しかし夢見る力と騎士道精神が微笑ましくて気高くて、モリー・クインとのシャイなやりとりが可愛い。ジェイソン・サダイキスジェニファー・アニストンが次第に近づいていくのもいい感じ、キツイ言動を繰り返すエマ・ロバーツも可愛い顔とのギャップがなかなかはまっている。みている途中で楽し過ぎて、ああこれがテレビシリーズなら良かったのに、と思った。だったら毎週、この愛すべきバカの一団の話をみていられるのに。

予期せぬ(バカな)展開が待ち受ける旅の道中も可笑しい。回避不可能にみえる危機を、運のよさと機転で乗り越えて行くのがバカバカしくも最高。ドラマとしてはエピソードを並べただけの構成になっている感じもあり(それがテレビシリーズだったら、と想像した理由でもある)、そこが惜しいような気もするが別に問題があるわけじゃない。ギャハハと笑って、思わず目頭を熱くさせ(アニストンのファンならば、股間も少し熱くさせ)るうちに、なるほどそうきたかの着地と、全然懲りてないのが判るラストシーンとで、嬉しい気持ちになる109分。楽しかった。