眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

死霊のはらわた(2013) 感想

夏のホラー映画まつり その3

テレビ放送の録画なので、R-15指定版でみた。

ドラッグ中毒のジェーン・レヴィ。彼女の兄やの友人たちは、ジェーンを山小屋に半ば軟禁状態にして、ドラッグを抜こうとする。が、その小屋の地下に、死者の書が眠っていたのだ…。

あんな山の中に遊びに行くなんてありえないだろう、というオリジナル版の無理を回避する設定を用意し、またドラッグ中毒の禁断症状による幻覚や行動を、悪霊の存在と重ねようとする(重ねてもいい)作りになっている。それが現代のホラー映画へのアプローチの方法なのだろう。真面目に、それっぽく作れば作るほど、面白味が薄れていくと思ったが…。しかしまあ、それは70〜80年代のホラー映画世代である人間にとって、そう思われるだけのこと。現在の若い人たちには、凄惨で、恐ろしく、おぞましい映画になっていることだろう。

ホラー映画というのは、基本的には、子供たちのためにある。いい年した大人には、おそらく怖くないし、それほど面白くもない。ただ、残虐な描写がみていて辛いとか、時々びっくりさせる場面があるとか、その辺りに反応するだけで、だから上のホラー世代には、それほど引っかかるものはないと思われる。

そもそも、リメイクするような映画ではないと思うのだ。オリジナルは、低予算映画のビジュアルスペクタクル描写こそが全てであり、センスだけで作られているような映画。残虐度をあげてシリアスに作れば、あれを越えることが出来る、というものではない。リメイクというのは、本当に難しいものである。

物語のことを言えば、「ジェーンが生き延びる」というのは、そりゃないんじゃないの、と思ったけれど…。死者の書を開けたのはルー・テイラー・プッチだから、責任は彼にあり、「ジェーン」も犠牲者ではあるんだけど、どうにも理不尽な気がしてならない。オリジナル版のポスターデザイン(↓)を再現したような、悪魔復活の場面はちょっと嬉しかったけれど。

最近のホラー映画を見ていると、文句ばっかり言ってしまう。これもノスタルジー指向の弊害かな。作り手にも悪いし、自分でも気分が良くないから、もう見るのやめようと思った。