眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

イマジカBSで放送された「プロジェクトA2」吹替版について。

イマジカBSでは、ジャッキー・チェン作品を、懐かしいテレビ吹替と新録音とを取り混ぜながら放送しているのだが、今回は「プロジェクトA2」について、書き残しておきたい。

今回放送されたものは、1989年5月13日にフジテレビ「ゴールデン洋画劇場」で放送された際の吹替版。中盤でマギー・チャンが、諸々をごまかすために歌うところが楽しくて、ここでの麻上洋子の声が絶品の可愛らしさ。録画したテープを繰り返し見たものである。なので大変、愉しみにしていたのだが、始まるやオープニングの主題歌部分で違和感を覚え、本編が始まってラム・ウェイを演じる富山敬の声を聞くに及び、早回しになっていることを確信した。女性の声だとそれが顕著に表れて、明らかに高く早口。チャカチャカした感じになっている。男性の声は、富田耕生のように男っぽい声はそうでもないけれど、中村正や富山敬のようにトーンが高い人の場合は、違和感が強い。気にしなければ聞き流せるかもしれないが、個人的には、好きな吹替だったこともあって、とても聞いていられない(最後までみたけれど)。この前に放送されていた「プロジェクトA」は、早回し版ではなかったはずだが、どうして続編の方はこのような中途半端な仕様のものでしか放送しなかったのだろう。しなかったのか、出来なかったのか。でもせめてそれなら、PAL版しか入手出来ず、音声が(というか当然映像もだが)早回しになっています、と一言言っておいてほしいものだ。この件でイマジカにメールしてみたのだが、回答なし。イマジカBSにとっては、一視聴者の疑問など取るに足らない小さな話し、ということなのだろうか。

ついでに書いておくが、今年さまよう魂たちが、やはりイマジカBSで放送された。これをみていてたまげたのは、マイケル・J・フォックスを追いつめたジェフリー・コムズが、ショットガンの銃弾を受けて頭を吹っ飛ばされる場面がなかったことだった。もしかしてそんな場面は元々なくて、記憶違いか?と思い、DVDで確認したが、当たり前だがそっちにはちゃんとあって、びっくりしてイマジカにメールしたところ、「現在、権利元が提供している素材はこれだけで、イマジカで勝手にカットはしない」という返事があった。そのあとで知ったのだが、イギリスでは規制のためにカットされた版があり、アメリカでもテレビ放送の際にカットされているようで、どうやらその辺のバージョンがHD放送用素材として流通しているらしい。話としては判ったが、元を知っていると、愉しみにしている場面がないというのは衝撃に近いものがあるのも事実。まして有料チャンネルはノーカット放送と信じ切っているのだから。いちいち「一部カットされています」と表示は(営業上などの理由で)出来ないのかもしれないが(というか、多分イマジカ側はカット版とは知らなかったのでは、とも思う)、それにしてもな…という気持ちは、心の底に澱のように残ってしまった。「さまよう魂たち」は、WOWOWスターチャンネルでも放送されていると思うが、そちらでもカットされた版だったのかどうか。気になるところ。あまり誰も話題にしていないようなのだが、それほど大したことではないのだろうか?よくある話?「プロジェクトA2」の吹替についても、誰も何も言ってないようなのだが、わたしの小さなこだわりの方がおかしいのだろうか?

もうひとつ、書いておこう。「みじかくも美しく燃え」の最高画質版というのが、イマジカBSで放送された。これもみて、たまげた。フィルムというのは、ここまでの高画質を引き出せる、ということの証明でもあるのだろう。1967年の映画の映像がここまでクリアになるのは凄い。仰天した。だがそれは恐ろしい事態を招いている。最高画質版というのは間違いないのだろうが、高画質過ぎてもうフィルムのようにはみえないのだ。いやフィルムとは突き詰めればこういうものなのだ、と言われたら、私たちが映画館やテレビでみてきた質感のものではない、と言い返せばいいのだろうか。ハイビジョンで撮影したテレビドラマの如き質感なのである。映画にみえない。望遠で撮った場面などには、多少粒子が乗った感じになって映画ぽくみえないこともないが、そうでない場面(ということは映画の大半)はどうみてもビデオ映像のよう。かつてこの映画をみた人にとっては、居心地の悪さを覚えるのではないかと余計な心配をしてしまう。印象が全く変わるのではないか、と。クリアにすればそれでいいのか、というのは意外と大きな問題だな、と思わされる。例えば「悪魔のいけにえ」がこのような画面になったら?「男たちの挽歌」がこんな感じになったら?なんだか、あまりにも薄っぺらく感じないか?と思い、密かに動揺するのだった。この最高画質版が、誰の判断でこのような形になったのかは知らないが、本当にこれでいいのか?という迷いを覚えた。なので、ついでに記しておく。