眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

別冊映画秘宝 「円谷プロ怪奇ドラマ大作戦」 


洋泉社/2013年刊行。

軽く感想を書いておこうかと。

怪奇大作戦」「恐怖劇場アンバランス」「緊急指令10-4・10-10」の3作を中心に、円谷プロが手掛けたドラマを扱ったMOOK本。例によって、外堀を埋めるかのように、出来得る限りのスタッフ・キャストに取材することで、かつてのドラマが立ちあがって来るという構成は、他のMOOK本同様のアプローチ。大変、読み応えがある内容。

「怪奇」について割かれている分量が多いけれども、それは仕方あるまい。「こうもり男」の最後が唐突な理由が、フィルムが感光して使えなくなったから、という話しを読んで、なるほどそれであの結末か、と思ったり。

「10-4・10-10」からは、黒沢年雄のインタビューが載っている。年雄は、「特撮ものは好きじゃない」と答えている。今、本が手元にないので曖昧になって申し訳ないが、特撮ではなくて、SFだったかもしれないが。「血を吸う薔薇」も嫌だったと言っていて、あの映画の黒沢年雄の覇気のなさは、やっぱりやる気のなさだったのだということがはっきりした。

面白いのは、俳優にしろ、脚本家にしろ、プロデューサーにしろ、女性たちのインタビューの答えが結構雑なこと。覚えていないことも多く、また、当時も意外と「言うことは言う」という感じだったようで、そこが男性とは多少違っている。女性ということで、言いたいことが言えた、ということでもあるのだろう。基本、男中心の作業の場で、男たちは縦の関係や横のつながりから、強いことが言えなかったりすることもあったろう中で、女性たちはその枠の外側にいたように読める。だから好き勝手なことが言えた、とも。なかなかに辛辣なことを言ってるインタビューもあり、笑いながら読む。

あと、俳優になるにしても、スタッフとして参加するにしても、誰かの紹介で、というケースが多い。その後成功するかどうかは、本人次第でもあり、運もあるけれど、きっかけの部分では大いに幸運が作用しているな、と思う。また、その後の仕事も、ちょっと一緒にやったことがあるとか、知り合いだったとか、誰かが推薦してくれてとか、勿論オーディションなどもあるのだが、小さな何かが次の仕事に繋がっているというケースがまた多い。一つの仕事を黙々とやるのもいいが、人とコミュニケーションを取ることで、もっと広がっていくものなのだな、と。たくさんのお話をまとめると、そこに行きつく。当たり前と言えば当たり前だが。仕事というのは、縁と繋がりが大切だということである。