眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

ウルトラマンサーガ 感想

監督は、おかひでき。

ウルトラマンダイナ』は15周年だそうじゃないですか。信じられない、あれからすでにそんなに時間が経っているとは…。なので、まさかのスーパーGUTSの面々との再会には、思わず落涙。なんだよ、みんな元気だったのかよー、しかも現場でまだ現役なんだ、と。久々に会って相変わらずやってる姿を見たらそりゃ驚くし興奮するし懐かしいし…。物語はDAIGOを主役としたものだけれども、今回の舞台ではダイナとアスカの存在が非常に大きなものなのがまた泣ける。テレビの最終回で光の中へ消えて行ったアスカは、この世界に来ていて、そして人々のために戦っていたのだ。ここ数本作られているウルトラマン映画を見ていないので、その設定はかなり驚きで、ダイナの世界がテレビで終わっていなかったことがとてもうれしかった(脚本は長谷川圭一)。また、DAIGOやAKBといった演技的に不安の残る要素をうまくさばいているのはさすがといえて、キャラ設定の段階で多くを語ってしまう方法を取ったことも勝算に繋がっているし、中盤で明かされるチームUについての疑問が解消されたときに、彼女たちの拙い演技すらがOKになる、という脚本と演出の企みはなかなかいい感じであった。

ミニチュアセットを組んだ街中での戦闘はやはり特撮映画、ウルトラマン映画としての楽しさがあり、日本独自の映像表現として廃れることなく続けてほしい、と切に願うものであった。ビルの間を飛んでいき、光線を一発、二発と連射するゼットンなんてのは、『ガメラ 大怪獣空中決戦』のクライマックスを思い出させて、あれは本当はこんな感じに撮りたかったんだろうな、と思ったよ。三池敏夫特技監督、憂さは晴らせたでしょうか?

熱いメッセージも、インタビューなどで拝見する真面目な性格らしいおか監督の言葉そのもののように思え、素直に耳を傾ける次第でございました。いや、この映画がどこまで一般観客、一見のお客さんに喜ばれるのかはよく判らないんだけれども、喜んで見た人間がここに一人いる、ということで。

おかひでき、という名前を初めて見たのは、87年12月、よみうりテレビcinemaだいすき!8ミリフィルムフェスティバル』のときである。当時は岡秀樹。放送されたのは『やけくそ爆裂どんづまりサンダ―ロードパートⅡ体力編』。やたらしゃかりきな内容で、自転車を担ぎあげて、ライトからヤマトの波動砲みたいなのが発射されるところが異様に印象に残っているのだが、加えて翌年、番組の審査員に石井聰互が呼ばれた際にも特別に放送されたはずで、そのときに石井聰互に、「もっと精進しろ」みたいなことを言われていた。これはやけに鮮明な記憶なのだが違っているのかな。

さらにそのあと、ゆうばりファンタに番組から何本か出品されることになり、おか監督の作品も選出。番組も密着取材していたし、世の中の景気はまだ良かった頃で、よみうりテレビはその後もフォローし、伊丹市市制施行50周年記念作品『ひとけたの夏』で脚本・監督を務めている。そこで単なる一視聴者でしかない私個人の目の前からは、おか監督の消息は不明となるのだが、その後たしかピンク映画というかゲイポルノに参加(出演もしていたような…記憶違いならすみません)しているのをみて、おおこんなところで!と驚いたのだが、それからまさかウルトラマンゴジラに向かって行った、とは全く知らない話でしたよ。

と、ながながと書いてしまったのは、間のことを全然知らなかったので、おかひでき、という名前を見たときに、まさか、と信じられなかったからだ。あの、おかひできなのか?と。いやまさにそのおかひできだったのだ。舞台挨拶や取材を受けている姿は、年相応に貫録がついているけれど、たしかに記憶にある彼だった。私は個人的におか監督と面識があるわけでもないし、この先あるとも思わないし、ただただ、映画を作る側と見る側、という関係でしかないけれど、でもなんだか他人事とは思えない喜びと嬉しさがあった。頑張ってやっていたんだなあ、そして劇場映画にまで辿り着いたんだなあ、という。昔の作品のことをちょろっとだけ知っている、それだけなんですけどね、でも知っている、ということで勝手ながら昔馴染みみたいなね、そういうまあ思い込みに過ぎないんだけど、そんな感情が生まれてしまったわけです。とにかく、おめでとうございます、と言いたかったんです、今回は。

そして『ひとけたの夏』だ。一度テレビで放送されたっきりだと思うのだが…。

再見。懐かしいなあ。当時は、出来栄えについて、特に何も思わなかったのだが、今見ると、いや悪くないねえ、と。これは結構丁寧に撮ったんじゃないかなあ。

LUPIN the Third 峰不二子という女』第一回。なんだよよみうりテレビ、放送しないのかよ!、と思わず毒づいたが、GYAOで無料配信されている。関東圏以外の人や見損ねた人は是非ともそちらで見ていただきたい。毎週金曜日更新だって。忘れないようにしたい。

手描き風な絵のタッチもいいし、キャラクターデザイン的にも申し分ない。直接手を下したわけじゃないけど、不二子は場合によっては人の命もあっさりと使い捨てる、生き延びるためにはどんなことでもやってのけるかなりしたたかな女として描かれており、こういうハードさは旧ルパン以来だろう。また、新キャストとして話題を呼んだ声優陣は、ここで初めてその意味を持った。旧来のルパンでは、単なる物真似を求められただけ。今回の、ある意味硬質な手ごたえがゆえに、声が若返った意味と必然性が良く判るというものだ。これは次回も愉しみに出来る。