眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

『私は猫ストーカー』をみる

監督は鈴木卓爾。2009年の作品。

GYAOで。簡単に感想を。

何気ない日常を、何気なくとらえた、スケッチのような映画。古本屋夫婦の喧嘩のきっかけとなる本の装丁の色と、店で飼われている猫の座るクッションの色が同じこと。出て行った猫の首輪がポロリと外れるラストシーン。坂道の入り組んだ町並み、人と人、人と猫との微妙な距離感を切り取るスタンダードの画面の中に、小さな生活が息づいている。鈴木卓爾の映画は、穏やかさのファンタジーの向こうに不穏さの放つリアルを感じさせる、独特の風景をみせてくれる。