眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

ゴジラ×メカゴジラ(2002)

監督は手塚昌明
BSプレミアムで。
久々にみてみると、印象が変わっているところがあって面白かった。劇場公開時から、メカゴジラのCGは粗いな、という感じだったが、更に軽くなっている。クライマックスで、空中でワイヤーを切断して降下する場面など、今ならもっと重量感のある飛行シーンが作れるんじゃないだろうか。たぶん、物凄く重いものなのに、えらく簡単に飛んでいるようにみえるし、ゴジラとの戦闘でも双方がぶんぶん宙を飛び交う。そのこと自体はいいんだけど、何万トンもあるようなものが宙を舞うって、冷静になったら、相当なことですよ。ミニチュア特撮が、嘘っぽさのなかのリアリティをどう見せていくのか。この難しい問題のひとつとして、重量感は外せないんじゃないかな、と思いました。まあ製作陣には、んなこたあ、判ってるよと言われるでしょうけど。
それから、うっかりすると、子役が重要な役回りであることを忘れてしまうそうになるのですが、小野寺華那演じる湯原沙羅ですな、彼女の描き方も悪くないな、と思いました。ゴジラ映画は子供向けですので、子供がドラマの中心に来るのは仕方ないのですが、公開時にはこれにがっかりしたものです。でも今みてみると、決して悪くない。いやむしろ、優等生過ぎてちょっと無理があるくらいですが、実際、父親に負担をかけまいとするけなげな少女ですから、優等生なんでしょうけれど。初代のゴジラと二代目の関係を思い、ただそこにいるだけで殺されなければならないゴジラの存在に心を痛める姿を、大人ではなく子供に託すところが、子供向け映画を子供の為だけに終わらせない、作劇のうまみでもあります。シンプルだけども重要な問題を、戦闘にかまけて忘れている大人たち。そうは言ってられない現実があることは判った上で、でも大人はその問題に触れることはない。重い責任を、子供に丸投げしてしまう。ある意味では酷い話ですよ。
そして、こんなにストレートに主役に感情移入して、しかも彼女の戦いが直接ゴジラにぶつかる、というのは、やっぱり燃えますよ。ゴジラ映画の主役で、情念の塊のような人物は珍しいですな。続編も釈由美子の主演でみたかったなあ。

松井秀喜が出ているんですけれども、ゲストとしてはかなり扱いが良いんですよ。台詞もあるし、ちゃんと見せ場がある。子供の投げたボールをガツンと打ち返して、ボールが飛んでった方向をみると機龍が見えてくる、といういい場面。後半で、関東一帯が停電になったときは、ひとり黙々と素振り。踏み込む過ぎて、畳がすりきれてるのも凄いし。いきなり電気が消えるのに全く動じないのが、さすが王者の風格です。