眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

キャット・バルー(1965・米)

CAT BALLOU
監督はエリオット・シルヴァースタイン。
BSプレミアムで。
これは愉しい。どうして今まで見なかったんだろうと、悔やみたくなる面白さ。

世間のことを何もしらないような、純粋培養で育ったようなジェーン・フォンダが、利権に絡む問題で父を殺されて、復讐を誓う。汽車で知り合ったお尋ね者二人組、牧場で働く先住民の若者、そして伝説のガンマン。4人を従えて、憎き敵のガンマンを狙う。

コロンビア映画のマークの女性が、カウガールになってバンバン拳銃をぶっ放す冒頭のアニメーションで、ああこれはちょっと違う映画なのだな、と想像出来るように、映画が始まると、まずナット・キング・コールとスタッビー・ケイの二人が登場。キャット・バルーは悪人で、これから処刑される、どうして彼女はこんなふうになったのか…と、バンジョーを弾きながら、画面に向かって歌いかける。ああ、なんて愉しいんだ…。二人は、頭から最後まで、話の間を歌いながら繋ぐ役割。ミュージカルとまではいかないのだが、お祭りのダンスシーンもあって、多分にそれを意識した感じ。語り口は、非常に軽快でリズミカル。それがミュージカル映画のテンポなのかもしれない。

ジェーン・フォンダの周りの4人は、それぞれの形で彼女に好感を抱いていて、特にマイケル・カランが彼女にべたぼれ。彼の、口八丁手八丁のノリの軽さが愉しい。これでアカデミー主演男優賞を受賞した、リー・マーヴィンの達者さは言うに及ばず、という感じ。かなり誇張したコメディ芝居なれども(髪の毛もふわふわしている)、このオーバーアクトがチャーミングなのが凄い。愛されている俳優だからこそ許される、微笑ましさもありますな。アルコールで身を持ち崩していて、酒が入るとしゃきっとする、そのギャップがこれはもう映画としては定番の愉しさですけれども、敵のガンマンとの勝負に挑むとなると、酒を抜いて、体を鍛え直していくんですよ。これがかっこいい。ここで、ああこれはマーヴィンくらいのタフガイさがないと、説得力ないな、と思わされますな。そしてジェーン・フォンダがよいですな。このとき28歳。ロジェ・バディムのあとだし、少々カマトトぽい芝居だったことになりますけど、そこがいい。世間知らずゆえの無謀さがキュート。それにしぶしぶながら付きあう男連中の、でもしょうがねえな的な雰囲気。雇い主だからとはいえ、いつの間にか彼女を中心とした、キャット・バルー一家になっているのが愉快でした。

汽車に乗って来る場面では、彼女の眼の色に合わせているのか、アイシャドーも、帽子と胸元のリボンも紫色なんですけれども、全体に使わないで、ワンポイントごとに小さく配色しているのが凄く映える。↓

もちろん、黄色のドレスや、ゴージャスで妖艶な真っ赤なドレスも着るんですけれども、青い色が似合っていたと思いますね。チェックのシャツも、赤よりも薄いブルーの方が可愛かったし。

かっこいいぜ!

歌も最高!