眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

7月3日放送 「アナザースカイ」 三上博史が憧れた俳優とは…。

それは一体誰なのか、ということが気になり、思わずみてしまった。

イタリアを訪れる(BS日テレ「小さな村の物語 イタリア」の200回記念パーティーをサプライズで訪問するのが第1の目的だった、そしてチネチッタ訪問)ということなので、やはりイタリアの俳優さんだろうか?と思っていると、どうしても行ってみたかった場所として、ある教会へと向かう。衝撃を受けた映画のあるシーンがまさにそこで撮影されており、「車がどっちから来たのか判らないんですよ」というようなことを語る三上氏。そしてみている側は思う、これは「悪魔の首飾り」ではないのか…と。

そこでイタリアを離れて、ロンドンへ飛ぶ。そう、三上博史が尊敬する運命の俳優とは、テレンス・スタンプだったのだ。

三上博史の緊張感丸出しの足の歩みに、みている側もドキドキしてしまうが、テレンスに会うや否や、ボロボロと泣きだす姿は、まるで子供のようであった(瀧本美織もボロ泣き)。俳優とは何か、演じるとはどういうことかと語るスタンプが、「非常にデリケートなことを話しているが、言葉の壁があるから彼がきちんと理解出来ているかどうか確認して」というところ。その本気さに感動してしまう。

しかしスタンプ、「the art is the heart」と素晴らしいことを言いながらも、ちょっとにやりするところに、照れと冗談とが混じる感じがかっこよい。「お金のために映画には出ない。全くお金がなければ別だけど」とも言っていて、そうか〜?結構お金のためだけのような映画もあるんじゃないの〜?と、そこはちょっといじわるな目で見てしまった。わたしが好きな映画は「私家版」とか「プリシラ」でしょうか。勿論「悪魔の首飾り」も大好きな映画だけど。

三上博史は演じることに真剣なのだな、としみじみと思った。ある意味ストイックというか。スタンプの、俳優は人生そのものだ、という言葉からすると、これからはもっと色んなことに積極的に取り組む三上博史がみられるようになるのかもしれない。

あと、ある香港映画に出たときには、「逃げないようにプロデューサーにパスポートを取り上げられていた」とか「クランクアップしたときに、ありがとうございましたと顔をあげたら、知ってる顔が誰もいなかった」(契約でスタッフは6時間交代制とからしい)とか、「せっかく皆で作っているはずなのにそれが寂しく辛く、日本に帰ってきて映画館に飛び込んだときにやっていたのが「インテルビスタ」だったので余計に泣けた」とかそんな「孔雀王」裏話も嬉しいプレゼントでした。やはりあまりいい思い出ではなさそうですね。


「悪魔の首飾り」はオムニバスの第3話。不穏かつビザールな人々の描写がフェリーニらしさ満点。よろよろと翻弄されるスタンプが痛々しくも妖しい。加えて、そっと近寄って来る少女の姿に戦慄する、真のホラー映画。