好きな映画音楽 「エーゲ海に捧ぐ」
「エーゲ海に捧ぐ」というと、ジュディ・オングの「魅せられて」もいいのだが、そちらではなく、エンニオ・モリコーネ作曲のこちらのことだ。とにかく、なんという色っぽい、いやエロっぽい音楽なのだ、としか言いようがない。
この曲が、とても印象的だった。女性ボーカルがエロいのは勿論ながら、ピアノとバイオリンの響きも、やたら官能的である。声と楽器が美しく絡んでいる、というイメージ。モリコーネは、その辺のことは計算済みなのだろう。イタリア気質のなせる技なのかもしれない。でもエロいということだけでなく、哀感を帯びた音楽そのものが素晴らしいので、例えば「エクソシスト2」の、「リーガンのテーマ」として使われてもおかしくはなさそう。「オルカ」でも、アリかもしれない。
↓LPジャケット。バイオリン・ソロは佐藤陽子となっている。そりゃ思い入れもたっぷりな感じにはなるか。
エロティックなのが売りの映画だったが、実際には、思っていたほど過激なものではなかった。それはテレビでみたからだろうか。また内容も、言われているほどつまらなくもなかった。もう記憶はおぼろげだが…。雰囲気だけの映画とも言われていたが、今となっては、それの何が悪い、とも思う。美しい映像と、美しい音楽と、美しい男女の姿。何を求めるかにもよるが、これはこれで良かったのではないかな…。
セックスが中心にありながらも、イノセンスの象徴として、一人の少女が大きな存在となっていて…という、池田満寿夫が何をイメージしていたのかが判るような、判らないような…。今更ながら、原作を読んでみるのも面白いかも。それにしても、池田満寿夫さんのことを覚えている人なんているのかなあ。忘れた、知らない、興味ない、というところが世間の回答のような気がしますな。
出演者では、やっぱりイローナ・スターラ…。後にチチョリーナとして名を馳せますが…。映画公開時の、ワコールのCMもありましたよ。
余談ですが、他のCMも軒並み懐かしい。ラジカセがでかいとか、マリアンがきれいとか、セイコーの腕時計とか、マックスファクターとか…。今のテレビCMでは、無くなってしまった、みかけなくなった、そんなものばかりですな。
あとは、(「サンゲリア」でおなじみ)オルガ・カルラトスが出ていましたな。↓この写真は「サンゲリア」なんですが。
テーブルの下に隠れてセックスする場面があって、あそこは刺激が強かったな。
公開当時は、大変な話題の映画で、大ヒットしたことも懐かしい。こういう、官能系の映画がヒットするということも、最近は無くなってしまった。「危険な情事」とか「ナイン・ハーフ」とか「氷の微笑」とか「愛人/ラ・マン」とか。ミニシアター系では、それなりにあると思うんだが、メジャー公開作からは消えたねえ。