眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「食人族」ブルーレイ続報

一転して発売が決定

注目したいのは、発売・販売が、株式会社ニューラインとなっていること。ニューラインは、絶対商売にならないような渋めの映画や、ホラー映画(勿論、ホラー・マニアックスシリーズもそう)などの発売を手掛けて来た会社だが、販売元になったことは、ほとんどないのではないか。今回、手を引いたハピネットに代わり販売も担うことになったわけだ。マニアックなファンのための商品なので(絶対売れるので)、販売ルートなど営業上の不利もさほど問題ではないという判断もあっただろうし、ホラー・マニアックスレーベルだし、ハピネットも普通にHPに掲載しているくらいなので、一見、問題はなにもないように思われる。

今回は、物が物だけに別の会社が引き受けるということが出来たが、そうでなければどうなっていただろう。せっかくの商品は市場に出る機会を失う。地道に商売をしてきた会社が負債を抱えて失速し、倒産には至らずとも、DVD事業から撤退、ということも容易に考えられる。

もうひとつ思ったのは、DVD業界においても、クレーム次第では、上の立場の会社が責任を下におしつけて逃げる、切り捨てることが出来ることを示したことにはならないだろうか、ということ。となれば、そんな不安やリスクを抱えて、今までと同じように一緒に仕事が出来るだろうか。

封殺される映画が、ひとつ、またひとつと増えて行く…。自由が奪われていくこと。迫害されるものが、さらに迫害されていくこと。それらが明確にされ、メーカーも背を向けた、という恐るべき事態ではないか。考えすぎかもしれないし、これが杞憂で終われば、それでいい。が、手塩にかけて作ってきたものが、得体のしれないクレームであっさりと瓦解した瞬間は、ほんの数日前の現実なのだ。

今回の「食人族」ブルーレイ発売中止問題は、今の日本にくすぶっている非常に嫌な気配と無縁ではない、と思っている。発売が継続されたからと言って、素直に喜んでばかりはいられないのではなかろうか。