眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

怪談新耳袋 『姿見』

確か劇場版の中の一編で、タイで公開されたときには映画館が絶叫に包まれたという噂。本当に心臓に悪い作品なので鑑賞の際には注意していただきたい。

以下ネタばれ


振り返るとそこに殺人鬼が!というのはホラー演出としては常套だと思うのだが、この短編がその常套から一歩抜きんでているのは、化け物がこっちに向かって走ってきている姿を入れているところにある。化け物が背後にいた、という描写はそこで本来は寸止めになるはずのショックなのだが、これはショックが止まらない。得体のしれないものが走ってきてる、しかもそれが一瞬何なのかが判らない。えっあれ何?と思わせて、その直後にその正体が眼の前に迫るという、二段構えで構成されているところが、ありそうでなかった恐怖表現になっているのではと思う。またその正体が生理的に恐ろしいタイプのもの。想像外だと思う。反則というか禁じ手に近い。『赤い影』のラストの恐怖に似ているんじゃないかな。