眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

X-ファイル・シーズン1〜第3話 「スクィーズ」

UFOによるアブダクト及び政府の陰謀が、このドラマの中核をなす要素だけど、個人的にはこういう奇怪な話しの方が好み。

密室状態での殺人事件が相次ぐ。死体からは素手で肝臓が抜き取られるという猟奇的なもの。捜査にあたったモルダーは、現場の通風孔に残されていた指紋が、過去に起こった同様の事件でも残されていたことを、Xファイルの資料から発見。その事件は(資料で判る範囲では)1903年から30年ごとに繰り返されている。30年ごとに5人が犠牲になる。犠牲者は必ず肝臓を奪われる…。
遺伝的な異常によるものか、肝臓を食らうことで命を長らえる、もはや人間とは言い難い怪物。一見、気の弱そうな青年が、狙いを付けた人間に迫っていく様子が恐ろしい。壁をつたい、体を変形させて、せまい配管の中に入っていくところをきちんとみせるので、その脅威が判りやすくて怖い。人はこんなところ通れないだろう、と思われる隙間に入り込むという発想が凄いのだが、強盗とか、ストーカーとか、ハッカーとかどんなに警備を万全にしても絶対に入って来る奴がいる、という社会のはらむ問題を、SFドラマとして描き出すのは本当に素晴らしいと思う。と同時に、優れたホラーでもある。1930年代に撮られた、犯人と思われる男の写真が、今と全く同じで全然年を取っていない、という場面は、かなりホラー濃度が高い。得体の知れなさと、不気味な余韻を残してこの話は終わるのだが、好評だったのか、続編がある。みながら思っていたのだが、これはリメイクしても面白いんじゃないかな。それほど、魅力的な物語であり、キャラクターだと思うんですよ。