眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

フローズン・ライター ★

監督 ジャスティン・トーマス・オステンセン/2011/カナダ/NETFLIX/

スランプの作家ジャックは、映画の脚本を仕上げるために、寒々しい田舎の冷凍庫に籠るはめになった。期限は5日、書きあがらなければクビという状況で、無理矢理にアイディアを絞り出し書き始めるのだが…。

ジャックが書く脚本は、劇中劇として描かれて、精肉工場のセットも撮影も、何よりもマイケル・ベリーマンもホラー映画らしい雰囲気を纏っていい感じ。その肝心の脚本の内容がさして面白くないところが致命的で盛り上がらないが、逆説的というかメタ的というか、退屈な脚本というところからジャックのスランプぶりが浮かび上がるのは、映画の企みというよりも、偶々そう見える、というだけのことだろう。が、現実と虚構の境界が曖昧になっていき、内容を変更すると分岐して違う展開になるのをちゃんと見せるのは面白く、最終的に劇中劇の中で、次の展開を考え始める辺りは完全にコメディになっていて、色々とネタを繰り出す脚本はあれこれと手が込んでいる。が、ジャックがどの時点で「人の脚本を盗む」と決めたのかは判らないが、それが結論なら、ここまで描かれたことは何だったのか。観客は、一体何を見せられていたのか?この映画の脚本家の戯言に付き合わされただけか?という徒労感が凄まじい。