怖い、映画 洋泉社MOOK 別冊映画秘宝
山崎圭司+岡本敦史+別冊映画秘宝編集部:編/2018年刊行/
多くの怖い映画が紹介されているが、単純な、怖い映画のガイド本、というわけではない。その恐怖がどういう理由で気持ちが悪く居心地が悪いのかという、各執筆者それぞれの恐怖の捉え方があり、その延長上にある怖い映画とは何か。というコンセプトの下で作品が紹介され解説されていく。が、読み応えがあるのは、作品や映画人の紹介や経歴ではなく、凡人が気付かぬ視点を映画内から見つけ、自論として構築していく中原昌也や真魚八重子の批評の方だった。とはいえ、そこは読者の好みの差なので、優劣の問題ではない。
ガイド本としても優秀で、未だ知らぬ多くの映画の存在にワクワクさせられた。殊に「死霊の罠」の再評価というのは、もしかして見方を誤っていた?とドキドキさせるものだったし、「ドキュメンタリーは恐怖だ!」では、読んでいるだけで恐ろしくなるほど紹介された作品への訴求力を高める。これから観る映画の参考にさせてもらいます。