眠りながら歩きたい ver.3

映画、ドラマ、小説、漫画などの感想や、心に移りゆくよしなしごとについて書きます。

「クラシック音楽館 N響ほっとコンサート2016」 感想

今年のテーマは「ヒーロー&ヒロイン大集合」。司会は昨年に同じく、平井理央。以下、見ながら聞きながら思ったこと雑感。

「スーパーマン・マーチ」
 これは演奏会用にはそういうタイトルがついているのだろうか。聴いた感じでは「スーパーマン」のメインタイトルそのままだったように思うけれど。演奏自体は素晴らしいのだが、昨年と同じく若干スローテンポ。微妙な違和感を感じないこともない。指揮は昨年とは違って、広上淳一

「SF交響ファンタジー第1番から」 「から」となっているように第1番をまるまる演奏しているわけではなく抜粋。オープニングは、『「ゴジラ」(1954年)からタイトル・テーマ』と紹介されていた。いわゆるゴジラの基本テーマから、「ゴジラ」のメインタイトルへとつながる冒頭部分。そのあと『「怪獣総進撃」(1968年)から マーチ』『「宇宙大戦争」(1959年)から 戦争シーン』と続く。最初と最後でまとめられて大変コンパクトな構成。これでも素晴らしさには揺るぎはない。終盤の「総進撃」パートで、伊福部音楽の呪いとでもいうべき、トランペットが音を外すようなところが何回かあった。演奏としては完璧ではないにもかかわらず、いかにも伊福部ぽい、と思ってしまうのは少し特殊な人たちかもしれない。

サンダーバード」から 「ファイブ…」というナレーションに合わせて、ジャーン!と入って、番組冒頭を見事に再現する『オープニング』。素晴らしい。オリジナル版のタイトルテーマに続いて、映画版で使用されたという『トレーシー島』。実に優雅でリッチな音楽。トレーシー島に行ったらこの曲がスピーカーから流れているのかもしれないなんてことはないのだが、豊かな気持ちにさせてくれる穏やかな一曲。今回の演奏会でよかったものの、一つ目。そして『サンダーバード・マーチ』。日本ではおなじみのテーマ曲。「サンダーバード」と言えばこれ、な名曲ですな。広上さんは「サンダーバード」が好きだったそうなので演奏中も嬉しそう。いつでも嬉しそうだけどな。相変わらず、歌い(口元が)踊る(動く、弾む)指揮ぶり健在。

大河ドラマ真田丸」テーマ音楽」 服部隆之作曲のテーマは、ダイナミックな上に哀感があっていいですね。バイオリンは、娘の服部百音が演奏。隆之さんも会場に来られていた様子(カメラに抜かれていた)。広上さんは六文銭柄のベストに、お箸で作ったという朱槍の指揮棒。百音さんの真っ赤なドレスにも六文銭柄。

カルメン幻想曲」 フランツ・ワックスマン作曲。あの映画音楽のワックスマン。知らなかったな、こういうアレンジ版を作っていたんだね。こちらも服部百音のバイオリン演奏。聴くだに難しそうな曲だが、華麗な演奏ぶり。しかしカルメンを「魔性のヒロイン」としてこの企画に登場させるのは少々無理がないかな。クラシックをなんとか絡めたいということなのだろうが…。

千と千尋の神隠し」から「あの夏へ」 ピアノ演奏は小林愛久石譲の音楽は、日常的にいろんなところで聴く機会が多くてうんざりしたものだ。が、最近は露出が減っているせいか、こうしてたまに聴くと、いいなあと思えてしまうから現金なものである。郷愁を覚えさせる音楽だが、もしかすると、この先の日本人の懐かしいと思う風景や情景を飾るスタンダード曲になっていくのかもしれない、とふと思った。

魔女の宅急便」から「海の見える街」 この曲は好きな曲で。映画自体も好きな作品なのだが。というか宮崎アニメはどれも好きなのだが。ピアノも軽快で、聴いているだけで泣けてくる。途中でカメラが、第2バイオリンの女性から引いていくのだが、コンマス、チェロ、ヴィオラと、それぞれひとりづつが演奏しているのが判る。その部門のトップだけが演奏出来るパートとかかっこいいなあと思ったりして。

交響詩ウルトラセブン」から 第1コンマス篠崎史紀さんが「ウルトラセブン」が大好きだったというので前に出てこられた。篠崎さんによる(モロボシダンの)セリフで「史上最大の作戦」の告白シーンを再現!シューマンのピアノ協奏曲の冒頭部だけが、小林さんのピアノとともに演奏された。「アンヌ!」ではなく「理央!」というところ(言われてびっくりしている平井理央がおかしい)がいいですな。曲の方は、オープニングタイトルから主題歌へ。広上さん、歌ってましたな。主題歌は耳馴染みもいいところだが、これもフルオーケストラで聴くと曲自体の力強さがよくわかる。続いて「ウルトラ警備隊」のテーマ曲、これが今回の演奏会でよかったものの二つ目。迫力あったなあ。そしてワルツ「皇帝円舞曲」。ヨハン・シュトラウス作曲。第47話「あなたはだぁれ?」で使われている。とはいえ、クラシックそのものにあまり興味のない観客は「そのために一曲まるまる演奏されてもな…」という気分になるのでは、と余計な心配などしつつ。いやそもそもが、皆が知っている音楽やテーマを足掛かりにもっとクラシックを聴いてもらおう、もらいたい、という啓蒙イベント(と書くと怪しい感じになるが)なのだからして、「カルメン」同様こうやって絡めてくるのは当然なのである。

ドラゴンクエストⅢ」から「そして伝説へ」 これがラスト。壮大なんだけどあまり馴染みがない曲なので、少々物足りない…。最後はぶわーっと盛り上がって観終わりたかったのだが…。

といった具合の内容であった。昨年のMay J.のような歌のコーナーがなかったことで、エンターテインメントとしての雰囲気には欠けてしまった印象ながら、バイオリン、ピアノの華麗な演奏は、それを補って余りあり。御馴染みの曲からクラシックまで、堪能させていただいた。来年も開催されますように。

完全なる余談:N響、第2バイオリンの奥のほうに、石原さとみに似た人がいたな。たぶんエキストラだろうけれど。